夢と悪夢

 

[1]ネクライトーキー

 仕事の帰り道、Spotifyのシャッフルでネクライトーキーが流れてきた。「学生の時に出会っていたら衝撃だっただろうな」と思うと同時に「学生時代にコピーはしてないかもしれない」とも思った。

 これは本当はコピーしたくてたまらないのだけど、こんな素晴らしい手練れの玄人バンドはきっと、サークルの一番上手いとされる先輩達がガチガチにメンバーを固めてコピーするに決まっていて、そのコピバンはサークル内で伝説になってしまって未来永劫そのハードルを越えることができないだろうな、という目測からでた感想だった。

 僕が学生時代の頃は、それは東京事変だったが、ネクライトーキーもそこに入っているんだろうな、と考えていた。ピカピカ☆異伝子(※1)仲間でもあるネクライトーキーが格好良く、仕事で疲れた自分が少し小さく見えた。

 

※1

 ピカピカ☆異伝子は広島が産んだ「狂気、大人のコロコロコミックバンド」と勝手に僕が呼んでいるバンド。大体明るい下ネタ。選ばれし者しかライブを見届けることができない。

 これ以上このバンドを語ることは放送倫理に引っ掛かるので差し控えたいが、過去にネクライトーキーと共に、ピカピカ☆異伝子と広島で対バンしたことがあるため、会うと度々会話に登場するバンドである。ネクライトーキーにとっては、黒歴史か、最高の思い出かのどちらかだが、僕は知らない。

 

[2]夢

 仕事中、夢のことを考えていた。この前見たガストバーナーのはるきちさんと、ペプシ派かコカコーラ派かで大喧嘩して、ライブ中も一切目を合わせなかったあの夢ではない。

 高校生の頃、なんとなく「物書き」になると思っていたので、デスクでパソコンと睨めっこする人生になるとは思っていなかった。

 この夢というのは厄介なもので、夢が叶うというのは、思い描いた職業やら何やらで生計を立てる、豪邸を建てる、有名になるということだったり、なんらかの社会的な成功が含まれがちだったりする。

 「夢を追いかけるということは、同時にお金を追いかけるということ」と勘違いしやすいが、もっとピュアになって良いんじゃないかと思うようになってきた。現状パソコンを睨んでいるだけでお金が入っているのだから、夢とお金がどうしても絡みつくのであれば、すでに僕は夢が叶っているのかもしれない。

 そうではなく、もっとピュアなもの、ちゃんとお金を切り離せば、叶わないと思っていたものすら手軽に取り組めるんじゃないかと力が湧いてきた。

 ピカピカ☆異伝子だって、あれは立派なピュアな夢なんじゃないだろうか。やりたいことをするという意味であれば、立派な夢だ。いや、見る人がみたら、悪夢なのかもしれないけども。