Wisteria

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ZOOZ、2ndアルバム「Wisteria」を出します。

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「説明が多すぎるんだよ、日本の映画ってのは」と25年以上も前の映画監督の対談を見て、あぁそうだなと思う。

勝手に脳内で「映画」が「音楽」に変換されていたけれど、丁寧な説明描写より乱暴な佇まいのほうが個人的に何倍も説得力があったりする。

大学生5人の家飲みで、21時に駅に集まって、コンビニでお酒をたんまり買って、友達の家に行って…、みたいな描写よりも、何も情報がない状態で家の玄関に脱ぎ散らかされた5足の靴を見せられる方が乱暴で良いなと思う。

 

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そういったことばかり考えていたものだから、「Wisteria」というタイトルはとても良いなと感じている。4月に出した1stアルバム「shu ha ri」は精神性と初期衝動に焦点が当たっていたけれど、そことは違うものに焦点を当てて作ることができたので幸せである。

 

制作自体は春くらいから動いていた。ライブハウスを取り巻く世情、声、倫理観、風当たり、ささくれを触るような人の神経の苛立ち方が目立って、そこばかりに目を向けていると精神的に疲れてしまいそうになる時期だった。

 

あえてそういったものを良い意味で横目に置いて、このアルバムをつくることでふんわりとモチベーションのようなもの、音楽がやっぱり好きなんだなということを感じ続けることができたので、世情はどうあれ個人の精神は安定していたし、自分で自分を音楽というツールで救っていた。音楽をちゃんと一緒にし続けてくれるZOOZのメンバーにも随分救われた。

 

あとは、お寺でありレコーディングスタジオである「Hidden Place」という地場が持つ力、人の思考に随分助けられている気がする。スリッパがドラえもんなのも随分と高ポイントだ。

 

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広まって欲しいという気持ちは常にあるけれど、世の中が膠着状態に陥っているので、できる範囲でちゃんとレコ発をする。

 

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5月に予定していた「shu ha ri」リリースパーティが延期になったので、その時と同じ出演者で、2ndアルバム「Wisteria」も交えて11/29に再リリースパーティをすることになった。

 

延期の判断をした時点(春頃)で、11/29に再調整していた。そのころは今年の終わりにはもう大丈夫だろという楽観と、もっと酷くなっているかもという悲観が混じっていた。結果としては中庸の「ライブはできる。でもフルのキャパではできない」ということになった。

 

人間は危機に晒されると、最も攻撃しやすい対象に牙を向けやすい。大衆に加担すれば自分の身は安全でいられるので思考を停止したまま攻撃できる。今も風雨にさらされるなか、存続している、そしてライブをさせてくれるライブハウスに最大に感謝しつつ、ライブをしようと思う。安全に。人間の感動はどこにあるのか。