名古屋はよく分かんない

[1]1年前の電話

2020年3月7日

去年の今頃はバタバタとイベントが中止延期になり、世の中を分厚い暗さが覆い始めていた。一方で季節はどんどん暖かくなってきていて、季節と世情の歯車の噛み合わなさに気持ちが追いついていなかった。

 

そんななか晩ご飯を食べていた折に突然電話がかかってきた。2020年3月当時、みそっかすを解散したばかりのはるきちさんだった。バンドが解散したばかりの時点で電話がくるということは「新しいバンドに誘われるだろうな」とちょっとピンときていた(+「何か手伝えることがあれば手伝いたいですねー」と少し前に名古屋で僕がお客さんと話していたことが本人に伝わっているだろうなと勘づいていた)。

 

何食わぬ声で電話に出て、予想が的中してバンドに誘われた。「本当ですか?!」なんていいながら半分くらいは「やっぱり!ほらほら!」みたいな気持ちが混ざっていた。ただ1年前の電話の内容はそんなに鮮明に覚えていない。即決で一緒にバンドやると返事はした気がする。縁を紡ぐために勢いは大事だ。なにやらあれこれ話して電話を切って晩ご飯を再開すると、お味噌汁が冷めていた。話の内容はあやふやなのに、あっという間に冷えたお味噌汁をすすって春が訪れるのはもう少し先だなと感じたのは覚えている。

 

気がつけば3日後にはメンバーが集まっていた。

バンド名はガストバーナーというらしかった。

 

 

[2]名古屋という土地

深夜は吐瀉物が道を塞ぐ大阪の汚い治安の方が落ち着く育ちのせいで、パブリックな「名古屋」はそんなに好きではない。大阪より歩道が広いのに、なんでわざわざ歩く邪魔になるように樹木を植えまくるんだよ。

 

しかし、折に触れてライブハウスを取り巻く名古屋のお客さんとその文化は好きだなと感じていた。良い意味でもお客さんと演者の境目が濃くはなく、それを弁えている人同士であれば良い作用をもたらす土地だと思っていた。

 

そんな名古屋にそれなりの頻度で通うようになるなんて去年は思っていなかったし、慣れてしまえば近いんだなと感じるようになってしまった。ただ名古屋駅周辺の地下街は味気ない上に分かりにくいので1年経っても未だに許せないままだ。大阪駅の様々な進行方向に入り乱れる人の波が極めて鬱陶しいけど愛おしく感じてしまうくらい許せないままだ。

 

後どのくらい通えば、名古屋という土地を許すことができるのだろうか。

 

 

[3]変な人たち

ガストバーナーは変なバンドかもしれないと、結成して1年経って少し思い始めてきた。頻繁に名古屋に行くわけでもないので、まだよくメンバーのことをしらない。知らなくて良いなと思っている。みんな芯の通った変わり者だから、知れば知るほど難解な迷路に入ってしまう気がする。

 

プロデューサーとしてバンドを指揮するマイケルさん(ex.みそっかす)も変わっている。というか、プロデューサーってなんだ。どういう立ち位置なんだ。メンバーLINEのグループにもしっかり入っている。表に立って演奏しないだけで、5人で運営しているバンドだと言えば良いのだろうか。

 

よく分からないけれど、歪な人達が歪なままで1年経ったようだ。なんかみんな歪だけど良い人だし多分大丈夫なんじゃないかな。2年目のガストバーナーもよろしくね。もっと歪になるかもしれません。メンバーが禿げたらメタルバンドに転向するらしいです。